奥又白池から前穂高岳東面〜北尾根の岩旅

毎年恒例の夏シーズン岩旅。今年は北アルプスの前穂高岳へ行ってきました。

出発前、なるべく軽量化すべく装備を念入りに選定。雪渓のアプローチもあるので前歯付きアイゼンとアックスは必携。登攀具はダブルロープ60mとクイックドロー5本、リンクカム1セットで、シューズは重いけど長時間履いてても快適なTC Proにしました。

今回のルートは、ふつうであれば奥又白池にベースキャンプを張って宿泊装備や食糧をデポして空身になって登るのだろうけど、今回はテーマとしてベースキャンプを設けずに全荷物を背負って登攀して前穂山頂から岳沢側へ抜けるルートをとるプランにしたため徹底的に軽量化することに。テントは初使用だけどクロスオーバードームf2G、湯沸かし系の道具は今回は持たないこととし固形食にてやり過ごすことに。

初日は上高地からのアプローチで徳沢を経由して奥又白池までハイクアップ。ここにて幕営。

3名パーティー。それぞれ個食個泊の装備。

クロスオーバードームはスペースとしては快適なものの床面の防水が弱く浸水してきて不快でした。床面を剥ぎ取ってフロアレスにするかもう少し防水性の高い素材に縫い替えるかしないと今のところ冬には使いたくないかも。

翌朝、朝靄の向こうに望む前穂高の東壁を目指して出発。最もテンションがあがる時間。

まだまだ残雪多く、神経をすり減らす雪渓の横断。いやー滑りたくないね。

雪渓を超えてようやく東面の取り付きへ。岩壁が立ちふさがる。今回登るのは北条・新村ルート。

バックパックからギアを取り出してロープをほどいてさっそく取り付く。アプローチでは苦戦したけれど岩となれば皆快適にぐんぐん高度を上げていく。

今回、突破できるかどうかを危ぶんでいたのは核心の6P目。

ここのピッチはハングしていて通常はアブミを使用するA1グレードなのだけれども今回はなんとかしてフリーで突破してみようという目論見でやってきたのでした。

まずトップのU氏が空身になってヌンチャクをかけながらリードしていく。後続のIちゃんと僕で3人分の宿泊装備を含んだ荷物を手分けして背負いながら登ることにする作戦。

背中にずっしりと荷重がかかるなかハングのガバホールドにぶら下がると足が離れる。体重と荷物の両方の重さが腕にかかる。体を引きつけて固めながら落ち着いて次のホールドを見つけて取り付くとなんとか突破できた。後ろを振り向くと絶景が広がっていてやりきった感。

前穂東面の北条新村ルートを登り切ると前穂北尾根ルートに合流することに。四峰、三峰、二峰、本峰と何度もピークを抜けていくまで登攀要素もありクライムダウンもありけっこうな体力を消耗した。

めでたく前穂山頂を踏んでから今度は岳沢ヒュッテまで延々と下降。脚を消耗しきってヘロヘロになって到着したころには日暮れも近くなってしまった。それにしても今回は天候に恵まれ最高の岩旅でした。