OMMスコアミディアム1位入賞と聞いて「気合いで走ったんですか?」なんて聞かれて「え?」「え?」てなることがわりと多いです(笑… 僕らにとってOMMは(とくにスコアは)”最善の判断を積み重ねる心理ゲーム“だと思っていて、何をがんばったかと言えばとにかく大きなミスをしないようにすることだったと言えます。

人はどうしても間違いをおかす生き物だと思います。慎重にやってるつもりでもついうっかり、大事なことを見逃したり、都合よく解釈してしまったり。疲れがたまってくると特に。10回中に1回でも間違いをおかすならレースでは大きな失点につながってしまう。そこさえなくせればたとえがんばって走り回らなくてもいい結果が生まれるのに。

だからなるべくバディとの対話を大事にして、一歩立ち止まってでも先を急がず最善の判断を導きだせるように気をつけました。次の行動をどうするべきか、ひとりひとりが互いにつねに考えて、その根拠を伝え合う。なぜ、どうして、本当に?他の手はないの?前提が同じならば必ず同じ結論が導けるはず。意見が異なるのは根拠や前提なんかの見えているものがちがっているからで、それをすりあわせれば最善の行動がとれるはず。一人が思いちがいをしていたり見落としていればそれをかなりの割合で防げるはずだし、実際に何度かミスを防いできた実感があります。

そういうコミュニケーションの障害になるのが、自分より経験のあるバディにまかせようとか、自分の意見を否定されたくないとか、あの人がこう言ってるからとにかく付いて行こうとか、そういう人の弱い心理なんだと思います。一見仲がよさそうでもちゃんと機能できているか。自分はこうすべきだと意見を発して、根拠を提示して、相手の考えを覆したり、相手の意見をよく聞いて自分の間違いを認めたり、そうこうしながら人の弱い心理を乗り越えていけるのが良い信頼関係なのかなと思います。それはOMMレースだけでなく普段の山行でも大事になってくるのかもしれません。

荷物持ちと地図読みで役割分担をしたり、意思決定を一人に委ねてリーダーとフォロワーに分かれてしまったら相乗効果は生まれません。体力は二人になっても弱い方に基準が合わされるだけだし、気合いや根性でがんばってみても体力が増えたりなんかせずちょっとだけ前借りできるだけですぐにツケが来て自滅する。でも判断力はペアが機能すると何倍にも価値を発揮します。10回中1回まちがえる人同士でもペアがちゃんと機能すると1/10×1/10で100回に1回しかまちがえなくなる。これは鉄壁です。

あくまで僕らのスタイルだけど、そういう視点で今回のレースを振り返ってみたり、次回の作戦を考えてみたりするのも楽しいかもしれませんのでぜひ。

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